【母が特養に入るまで】(11) 認知症外来の受診と「要介護認定」まで

遠距離介護

認知症外来を訪ねる日がやってきました。

身支度に手間取ることも考え予約は11時です。

タクシーに乗っている間もずっと、母にはどこへ行くのか聞かれました。

総合受付を済ませ手をつないで目的の待合室に向かいます。

待合室は広く、内科・小児科・耳鼻咽喉科‥とつづいていきます。

それぞれの受付前に4人掛けソファが5列ほど並んでいて、どの科も半分くらい埋まっていました。

前回は一番前に座ったために母が『認知症外来』のプレートを見つけて帰ると言いだしたのでした。

今回は絶対に失敗できません。

幸い一番後ろの列が空いていたので二人でそこに座りました。

母は始終キョロキョロとあたりを見たり、番号が呼ばれる度に自分かどうか確認したりしながら大人しく待っています。

思い出したようにここは何処か、なぜここにいるのかなど繰り返し聞いたりしていました。

突然、一番前の席で60年配の女性が立ち上がり、「どういうつもり!?」と声を荒らげました。

「あなた、私を何だと思っているの!?」

連れらしいアラフォーの女性の声は聞こえませんが必死に宥めているように見えます。

そこへ受付の女性が丁寧に「次にお呼びしますのでこちらへ‥」と話しかけました。

女性は怒りを抑えた様子で「今日は結構です」と立ち去ってしまい、連れの女性は後を追っていかれました。

これは正に前回の私達です。

後を追う女性の背中が「また振り出しだ」と言っているようでした。

予約時間を2時間ほどすぎたころやっと番号が呼ばれ二人で診察室に入りました。

診察を受けている間、付き添いは少し離れて待っています。

先生や看護師さんたちは丁寧にゆっくりと母に話しかけてくださいました。

緊張した面持ちで膝の上に両手を重ねて真摯に答えようとしている母。

質問の内容は細かい項目が沢山あり時間もかかるものでしたが、終始穏やかに一人の大人として対応してくださいました。

無事に診察を終えると待合室はすでにガランと人気がなくなっていて、私は一種の感慨を覚えました。

この病院を教えていただいた日から3年が経っていました。

要介護認定には主治医意見書と、認定調査員の訪問調査が必要です。(厚生労働省HPより)

診察を受けた翌日ケアマネさんと要介護認定調査員の方が実家に来てくださいました。

調査員の方からチェックリストの質問を受けると、母は張り切って答えたり時には布団の上で寝返りの実演をご披露したりしています。

私はその様子を見守りつつケアマネさんと今後について話しました。

ケアマネさん曰く、正式に要介護認定されるまでには半月ほどかかるため、その間母を一人にするのは避けたいということでした。

確かに一人は無理だと思いました。しかし、私も既に一週間滞在しており、あとせいぜい数日しかいられません。

そこで「つなぎ」として、養護老人ホームにショートステイする方向で進めることを提案されました。

それが出来ればうれしいですが、私にはとても不可能に思えました。

母はユーモアはあるけれど我が強く人を思いやる気持ちに欠け、時に攻撃的な性格です。

これまで隣近所とのトラブルに何度も悩まされました。

今は少し弱気になって大人しくしていますが、いつまでも続くとは思えません。

万が一、ホームでトラブルを起こし出入り禁止にでもなったら、将来施設を探す段階で不利になるのではと心配でした。

かといって私にも生活があります。いつまでも実家に居るわけにもいかないのです。

ケアマネさんは「大丈夫だと思いますよ」とおっしゃって、にっこりと

「みんなプロですから」

なんという心強い言葉でしょう。

私は全面的に信頼し、ご提案いただいた通りショートステイを申し込むことにしました。

  

  

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