食器棚もテーブルも、椅子さえないけれど。

卒婚

私の新しい住まい、1DKのマンション。

約6畳の部屋を息子とシェアして、6畳に満たないダイニング。

ダイニングに置いてあるもの‥

電子レンジとオーブントースター、電気ケトル、炊飯器。

まだ炊飯器は使っていません。パックご飯を愛用中。

そして、ここには家具がまだありません。

  

今回の引越しで私が手放した物、たくさんあります。

かつて結婚のために準備したもの。

タンスや食器棚はもちろん、その中身も。

特に食器は私自身が好きなこともあって、知らない間に増えています。

その1つひとつ、どれにも買った時のことや使っていた日常の記憶があります。

今の私はその全てから距離を置きたいのです。

〝こんまりさん〟の『人生がときめく片づけの魔法』ではありませんが、手にとって「一緒にいく?」と思ったものだけここにあります。

そういう選び方をしたので、器はお鉢ばかりでお皿がありませんでした。

でも急場しのぎに買うのではなく、素敵なものと出会うのを待とう。

『好きな物だけそばに』

  

その想いが届いたのでしょうか。

先週、私には奇跡と思える出会いがありました。

それはお皿だけではなく、お店でした。

  

数年前、友人と出かけた先で偶然見つたけた素敵な雑貨屋さん。

そこで一目ぼれしたトートバッグを買いました。

そのころの私には珍しく、爽やかな青い大きめバッグでした。

持ったことのない色目でしたが、そのときワクワクしたのを覚えています。

いつしかどこで見つけたお店だったか思い出せなくなり、すっかり忘れていたのです。

それが先週、会社帰りにスーパーで買い物をした帰りのこと。

歩きながらふと目に留まったビルがありました。

あのビル、感じの良いお店が入ってるんだ‥

ん?なんか見覚えが‥え?‥え⁉

そうです、そのお店だったのです!

あまり嬉しくてスーパーの買い物袋を提げたまま、すぐにお店に向かいました。

入口のドアはまだ開いています。

中に入ると、記憶より小ぢんまりた店内は素敵な台所雑貨がいっぱいです。

そしてこの日も、可愛いお皿にひとめぼれ。

でも間もなく閉店のお時間です。

この日はお店とお皿に出会えたことだけで幸せでした。

そのまま家に帰って、また改めてゆっくり出かけよう‥そう思っただけでワクワクします。

そして次のお休みの日、再び訪れてお皿を家に連れて帰ることが出来ました。

その日から私は、夜お弁当を買うのをやめました(笑)

  

引越し前、家具や家電をイチから揃えるためかなりの出費を覚悟しました。

新居の初期費用や引越し、離婚に関わる費用も含めてすべてをザっと計算。

自分の預貯金を吐き出せば、なんとかなると結論が出ます。

過去の自分が貯めてきた大切なお金。

これからの新しい人生のために生かそう!

倹約すれば、もっと節約できたとは思います。

住まいも、家電も、家具も。

でも、そうしませんでした。

過去の自分に感謝して、その長かった窮屈な半生に報いるためにも我慢するのをやめようと。

少し無理しても、「これがいい、これにしたい!」を優先しました。

  

食器棚、テーブル、椅子。

このダイニングのメインキャストは、決めるのに特に時間をかけました。

今の私が買える範囲で、いろいろな家具の中から「これにしたい!」というものを選びました。

注文してから届くまで2カ月ほどかかるのです。

私にとっては思い切った買い物です。

これから先、自分の稼ぎで生きていくというのに。

今夜の夕食です。『料理研究家リュウジのバズレシピ』の『ソース派も寝返る塩焼きそば』。「今までの塩焼きそばの中でトップ」(ボーより)

でも、これでいいんです。

私が別居して一人で生きていこうと思ったのは、まさにこういうことなのです。

『好きな物だけそばに』

残りの人生、何年あるでしょう。

長いかもしれないけれど、明日までかもしれない。

その残された時間を自分のために使いたい。

私が、私らしく、「好き」に囲まれて生きていきたい。

ただそれだけのために決断したのですから。

  

今はテーブル代わりのダンボールと、イス代わりの脚立が私の相棒です。

これもまた楽し、です(笑)

    

  

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