霞が関の東京家庭裁判所。
見た通り大きなビルで、調停室は各階に分けて何十部屋もあります。
申立人の控室と相手方の控室は、その階の調停室を挟むように離れています。
この日、廊下の突き当りを曲がる手前に申立人控室がありました。
ドア以外の部分はなぜか型板ガラスになっていて中の様子がぼんやり見えます。
廊下はそこを左に曲がり、再び突き当たりを右に伸びていきます。
廊下の両側には調停室が並び、その先のどこかに相手方の控室があるようです。
申立人控室は、奥行きがあり壁1枚隔てて調停室という並びです。
その日は混んでいて、控室の長椅子は空いていませんでした。
仕方なく廊下の壁際にあった長椅子に、H弁護士と並んで座っていました。
しばらくすると担当の調停委員が来て名前が呼ばれ調停室に案内されます。
第4回目の離婚調停室は、申立人控室に隣り合った一番端の部屋でした。
調停室、近いですね。
調停室には男女の調停委員が2名いて、申立人側・相手方側双方が代わる代わる入室します。
今回はこちらが先に呼ばれました。
相手方が先だったら、廊下で待っているとこ丸見えだったじゃん‥!
調停委員から、この後相手方に伝える当方の主張の内容を確認すると、すぐ退席となりました。
そうしている間に、申立人控室の長椅子が空いたようでした。
これで相手方と鉢合わせる危険は無くなります。
相手方は調停室に呼ばれているころです。
調停室の隣が申立人控室と気づくでしょうか。
相手方控室も同様の造りなら、廊下に面した型板ガラスで想像がつくかもしれません。
空いていたのは一番前の長椅子でした。
そこに座ると型板ガラス越しに廊下が見えます。
廊下からもこちらの人影を感じるかもしれません。
しばらくすると、隣の調停室に入っていく2つのシルエットが見えました。
先に背の低いシルエットが、そのあと上背の高いシルエット。
低い方が相手方であることは間違いありません。
型板ガラスの影響で、最初近づいてくる2人のシルエットは重なってぼやけていました。
ドアを開ける動作でやっと、それが隣の調停室に入る人のシルエットだったと判別できたのです。
相手方かも・・
その時の印象は意外にもその程度でした。
弁護士の先生より先に入室するところは、いかにも相手方らしいところです。
これで相手方弁護士が同じような背丈だったら、どちらが相手方か分かったかしら。
見れば〝一瞬でピンとくる〟とばかり思っていたけれど、現実は違っていました。
このブログで離婚調停の記事は、1回目からサムネに東京家庭裁判所の写真を使っています。
調停終了後、道路の向かい側にある日比谷公園に行って撮るのです。
お気づきの方もあるかもですが、2回目のサムネには1回目と同じ写真を使っています。
それは2回目のときには写真を撮ることが出来なかったからです。
1回目の調停は、相手方が欠席。
2回目は相手方が出廷し、同じ調停室に入れ替わり出入りすることで極度に緊張しました。
万が一にも相手方と鉢合わせることが無いように、退廷後すぐH弁護士と共にタクシーで弁護士事務所に戻ってから帰宅したのでした。
今回は壁1枚隔てた先に相手方がいます。
私が座る長椅子からせいぜい5m。
家を出てから、最接近している状況です。
まだ同居していた頃、相手方が発する〝音〟が非常識な程大きく私も子ども達もストレスでした。
咳やくしゃみは、窓が開いているとマンションの反対側に居ても聞こえるほど。
電話の話し声などは、電話の相手も迷惑だろうと思う程の大声です。
そのどれか1つでも聞こえたら、自分が動揺しそうで身構えていたけれど‥。
音のカケラも聞こえませんでした。
調停室だけあって防音はしっかりしているのかもしれません。
しばらくすると再び2つのシルエットが現れ、廊下の向こうに去っていきました。
そしてそれを見送りながら、私のこころも体も全く反応していないことに気がついたのです。
別居したばかりのころ新しい生活は、まるでパラレルワールドのようでした。
この小さな一部屋は、私の夢のお城です。
でも〝本当の自分の居場所〟という思いと〝本当に手に入れられたのか?〟という不安が、結構長い間ない交ぜになっていました。
もしかしたら実際の自分の世界はまだ前の家にあって、何かのきっかけで連れ戻されてしまうかもしれない・・・
そんなバカげた妄想が、時に現実味を帯びた白昼夢のように襲ってくるのでした。
昨日で別居してちょうど8カ月です。
今回の調停では相手方の気配を感じた時、自分に何の変化もなかったことが後からジワジワ喜びと安心感に変わっていきました。
ようやくここまで来た、そう実感して。
ここにたどり着くまでの全てのことに感謝の気持ちでいっぱいです。
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