いま娘のポッペと息子のボーと３人で生活しています。
狭い部屋ですが楽しくて、夜などは話がはずみます。
先日も久しぶりに昔の話になりました。
去年の今ごろは別居の準備してたよね。
この家も決まって、私も大学の行き帰りに荷物運んだな。
ポッペに付き合ってもらって家具を見に行ったりしたね。
なんだか前の生活がすごく遠く感じる…
ほんと！３人ともよく頑張ったよ。
あんな生活もう無理だもん。
私が別居をすると決めたのは 2021年初頭。
その少し前から、相手方は急速に心身ともに頑迷な老人になっていきました。
そしてポッペやボーにとって大きな壁のように見えていた父親の姿は瓦解したのです。
言い争いになった時、父親のことをアナタって言ったら「アナタって何だ！」ってメッチャきれてきてさ。「そこかよ」って力が抜けたよ。
前から人の話をまともに聞いてなかったけど最後の方は酷かったね。
もう自分のことしか考えてないって感じだったね。
あれは酷かった。父権にしがみついて話にならないもん。
逆に「アナタ」って言って怒らせて、話し切り上げたりしてた（笑）
それを聞いたボーが「私もそれ。〝アナタ〟を〝デコイ〟に使ってた」と言いました。
デコイって何？日本語？
デコイは〝おとり〟とか〝仕掛け〟みたいな意味。
何語だったかな…
日本語？…あっ英語だ。
〝decoy〟カモなどを猟銃で撃つためにおびき寄せる…
ネットで調べていたポッペが急に「ぎゃ～～っ」と叫ぶのでびっくりしました。
そして、おびえた顔で私とボーにスマホの画面を見せるのです。
そこに写っていたのは・・・！！
私たち３人には見覚えのある〝あの木彫りのカモ〟にそっくりな仲間でした。
この話の流れであのカモが〝デコイ〟だったと知るだと？コワすぎだろ！
このカモたちは結婚前から相手方の実家に置いてありました。
結婚生活は同居で始まり、相手方はこのカモたちが大事そうでした。
私は軽い気持ちでどういうものなのか訊いたのです。
すると相手方は急に不機嫌に「いいんだよ」と言って黙りました。
それ以来、私はこのことに触れることなくカモたちは４回の転勤にも一緒に付いてきました。
私はこれをただの置物だと思っていました。
でも個人的に、この暗い色調の小さな目をしたカモが苦手でした。
いつも私たちの目に触れる場所にありながら、いつまでたっても愛着を持てませんでした。
別居を決行する前に、その気持ちをこのブログにも記事にしたりして。
そしてこの記事を書いたのは、ちょうど去年の今ごろのことでした。
この時また１年後にこのカモの記事を書くことになるとは夢にも思いませんでした。
３人で昔の話をするとき「相手方にとって家族とは何だったのか」という事を話すことがありました。
お互いがそれまで経験したそれぞれの出来事などから思いや考えを出し合ったりして。
そして最終的には同じ考えに行きつきます。
それは相手方には〝社会人として完ぺきな形の家庭が必要だった〟ということです。
私にも〝普通の家庭〟が理想の家庭像だと追い求めていた時期が長くありました。
イビツな家庭で育った者同士、一見似ているかに見えます。
でも私と相手方は決定的に違うのです。
最終的に私が目指していたのは、お互いを理解し慈しみあう家庭。
ただ長い間、それには普通の家庭という形が必要条件だと勘違いしていたのです。
一方相手方に必要だったのは〝誰からも後ろ指刺されない家庭をもっている〟こと。
それが社会人として優位性があると信じているようでした。
その中身は〝自分の稼ぎで養われる自分に従順な家族〟
自分にとって居心地が悪ければ、脅すことで思い通りにできる立場と思っているのです。
配偶者はもちろん子ども達にさえ、その心情を思いやることなどありません。
多分そこに悪意は無かったのでしょう、それはわかっています。
だからこそ、どうしようもないのです。
私と相手方の歩む道は、どれだけ時間をかけても交ざり合わないものでした。
結局あのカモたちが相手方にとってどういう物なのかは知らないままでした。
ただ、今になって知ったのです。
相手方にとって家族は〝decoy〟
社会で一定の優位性を感じ続けるためには必要条件だったのです。
それが全てではなかったことは分かります。
でもそれだけで十分です。
あのカモたちを好きになれなかった理由も腑に落ちたようでした。
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