昨夜、娘のポッペから電話がありました。
時間は23時。
残業だったという声には疲れより充実感を感じました。
ポッペは一度、転職を経験しています。
前の会社は、本社が地方にある一部上場の会社でした。
その地方では、その会社に就職できれば男女ともエリート。
女の子は職場結婚が当たり前。
結婚後も夫婦で働き、会社と共に生きて行くような、そんなイメージの会社でした。
ポッペは短大卒です。
大学進学を希望しながら、受験に失敗、浪人しました。
再度の受験でも全落ちして、やむなく家から一番近いところの短大に行くことになったのです。
高校受験では、さほど勉強することなく中堅の進学校に合格。
部活の友人はたくさんいましたが、多感な年ごろです。
学校では「身を守るために作ったキャラ」を演じることに疲れ果て、家では家族ともギクシャクしていました。
受験期になっても受験勉強に身が入らず、私と何度話し合ったか分かりません。
その頃父親は仕事に忙しく家族と向き合うことはありませんでした。
もともと「女こどもの話」に興味がなく子どもに寄り添う気などありません。
ポッペとの折り合いも悪く、進路を相談するどころか下手に接触させたらポッペにとって取り返しのつかないことになりそうでした。
ポッペの心は荒れていて〝受験勉強〟と言えるような勉強のしかたではありませんでした。
中学のときから通っていた塾が唯一の頼みの綱。
自傷行為や家出にならずに、なんとか一日一日を積み重ねていく、それしかできませんでした。
そんな状態で臨んだ大学受験、希望など持てる状態ではありません。
それでも2年続いて全落ちした時は本人はもちろん、さすがの私も呆然としました。
前の年父親から「大学を諦めて短大にしろ」と言われたポッペの味方になって浪人を押し通し、再び同じ結果になってしまったのです。
「おまえら俺に一度も進学のこと相談して来なかっただろう」
今の私なら「相談しなきゃ放っておくの?本当に心配だったら様子を知ろうとするでしょう!」と即座に言い返せます。
でも哀しいことにその頃の私は、「娘を守ることにばかり気が行って、父親と娘を遠ざけていたのかもしれない」と自責の念にかられました。
今回は厳しい現実を受け入れるしかありません。
その時期に願書が出せる短大は、偏差値が低いところばかりです。
どこでも同じ、家から一番近いところでいい。
そんな理由で通うことになった短大でした。
でも、それが大きな転機になったのです。
ポッペが望んだことでしたが、父親はもちろん、私も入学式には行きませんでした。
保護者向けの学校説明会があり、私は初めてその短大に行きました。
大学も併設されているそのキャンパスは歴史があり、緑も多く足を踏み入れるまでの先入観を洗い流してくれました。
教室に入ると他の親御さん方の雰囲気がつつましく穏やかで、とても感じが良いのです。
学生は全国から集まっていて、各高校で推薦入学を決めた学生さんが殆どということでした。
キャンパスへ向かう道すがら、すれ違った女子学生が一様に放っていた雰囲気を思い出しました。
その短大で、ポッペは友人もでき教授や学長からも信頼され、大きな学びを得ます。
今まで自分が持っていたモノサシがなんと陳腐で小さなものか。
人生で大切なものは何なのか。
高校から浪人までかけて迷いに迷った答えを、短大のキャンパスで得たのです。
就活が始まったころには父親に自分から相談するまでになっていました。
短大にはたくさんの会社に推薦枠がありました。
父親が「短大卒の就職口としては最高だ」と推していた会社は、まるごと昭和の社風でした。
ポッペは他の可能性を求めて「短大卒の給料で、大卒並みに働きます!」と必死に就活します。
しかし、複数の会社で役員面接までいったものの、やはり現実は厳しかったのです。
父親が推していた、短大の推薦枠で就職先を決めました。
短大の卒業式、答辞で晴れ晴れと語ったこの言葉は、私の胸を打ちました。
入社した先では様々な軋轢や出来事があり、パワハラを受け入院もしました。
それでもなんとか適応し、友人を得、丸3年を目の前に自力で今の会社へ転職を決めたのです。
転職先は、前の会社とは比較にならないグローバルな大きい団体です。
資格を持つ専門職の方に囲まれた、ハードな仕事。
転職当初の喜びも束の間、劣等感が顔を出します。
それでも、立場の違う様々な方とコミュニケーションをとり多くの方との繋がりができました。
気がつけばこの2月で丸3年。
今、その仕事でさらにステップアップしようと意欲を燃やしているポッペ。
ここに至るまでは茨の道だったけれど、すべてがここに繋がっていたと思わずにはいられません。
今までの出来事はすべて清算できたよ。
転職してホントに良かった!
今年はすごい年になりそう!
そう言えるポッペを誇りに思います。
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