余計なことをつい言ってしまった‥
「高校の修学旅行でも添乗員さんとばっかり話してたじゃん。
就職したらヨコの人間関係は大切だよ。
話してみれば、その人が何に興味があるのか分かるわけだし。
それが次に話すきっかけにもなるしさ。
他の人の話し方も、流れとか参考になるよ。」
夜ポッペとボーと3人でおしゃべりをしていた時のこと‥
ふたりの高校時代の話になりました。
高校時代か‥マジで受験勉強してた期間が一番充実してたな。
その他になんも思い出ないもん。
学校生活というものになかなか馴染めなかったボー。
暴力などのイジメがあったわけではないけれど‥
「居場所がなかったのが辛かった」
受験対策は予備校のおかげで、外部の試験はまずまず。
高校の宿題やテスト勉強は学校にいる間に終わらせて‥
下校後、毎日予備校に通って気持ちをぶつけるように勉強していました。
学校にいる時間は、かたくなに予備校の勉強はしませんでした。
「時間は惜しいよ。でもそういうこと、したくない。」そういっていたボー。
教師に気に入られるタイプでないことは、私もわかっていました。
それにしても高校3年生、最後の3者面談での担任はひどいものでした。
「外部試験で点を取れる子が本番で勝てるとは限らない」
さすがに一般論的な言い方でしたが、面と向かって言ったのです。
迫りくる受験を前に、本人はナーバスの極限。
その言葉を上の空で聞いていたのが救いでした。
心血を注いでバックアップしていた私は、冷静さを保つのがやっとの状態。
言葉が辛かったことは事実です。
でもそれ以上に、こんな環境でずっと耐えていたボーが可哀想でやるせなかったのです。
第一志望の大学に入ったことで、抑圧から一気に解放されます。
ボーは自由を満喫して、憧れのキャンパスに通えることに感動していました。
サークルやバイトも始めてそれなりに居場所を見つけたようでした。
とはいえ気質が急に変わったわけではありません。
昨年は父親に対するいら立ちがピークとなり、コロナもあって家でゲームばかり。
今年に入ってようやくどん底の谷からはい出してきたのです。
気づけば3人で話していたのに、私だけ過去の亡霊のような出来事を思い返していたようです。
話題は、ボーの苦手な“おしゃべり”に移っていました。
‥複数の人と話す時、無理に話さなくてもいいよ。
けど話の内容は覚えておくといいかも。あとあと役に立つことあるし‥
以前、「たわいのないおしゃべりって‥よく分からない。」と言っていたボー。
他者との関わりを求める気持ちがありながら、他者に関心が向かない矛盾。
それに対して「誰しも自分に関心を示さない人と関わりたいとは思わないでしょ」と言ったことがありました。
その頃の空気感と“過去の亡霊”を引きずったまま、目の前のボーを眺めていました。
そして冒頭のセリフを口にしたのです。
高校の修学旅行でも添乗員さんとばっかり話してたじゃん。
就職したらヨコの人間関係は‥‥‥
話してみれば、その人が‥‥
言わんとしてることはわかるよ。
でも関心を持てないことに耳を傾けるとか、そんなに簡単じゃないよ。
それに今は自分のことで精いっぱいだよ。
後からポッペがさりげなく教えてくれました。
ポヨ、まだボーのこと心配?
今日はダメ出し多かったよ‥
そうでした‥
ボーは今就活の真っただ中。
なかなか面接にまで辿り着けない中、気力を奮い立たせて向き合っています。
「他の人の話を聞く」より「自分をどれだけ掘り下げるか、わかってもらえるか」でした。
毎日毎日、眠れないくらい追い詰められているのをギリギリ耐えているっていうのに‥!
やってしまった‥
翌日、仕事から帰ったときはいつも通り「おかえりなさい」と声がしました。
夕飯の支度を始める前にボーの部屋をノックします。
昨日の話のこと‥余計なこと言っちゃった。
それどころじゃないよね、今は。ごめんね。
あー大丈夫。高校の時は確かに病んでたし。
気にしなくて良いよ。
それにしても高校時代‥ずっと昔に感じるよ。
やさしさと切り替えの早さは、ボーの最大の強みだよね。
「ずっと昔に感じる」と言えるほど、成長しているのだと思います。
なんとか乗り越えていくことが出来ますように‥と改めて祈る私なのでした。
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